「もう死にたい…」失明した愛妻へ贈った、庭一面の花畑
宮崎県の児湯郡新富町に、『新富町の観光名所』と呼ばれる個人宅があります。
『シバザクラ』という花に囲まれた600坪の家で、毎年3月下旬から4月下旬にお庭を開放しています。
なんと、多い日には7000人近くが花を見に訪れるそうです。
庭一面に咲き誇る、ピンク色の美しい花畑。実はこの光景には、とある夫婦の愛が詰まっているのです。
結婚から30年経ったある日のこと。52歳になった靖子さんが、突然目の不調を訴えたのです。敏行さんがすぐ眼科へ連れていくも、原因は不明。
1週間後、糖尿病の合併症が原因だと判明する頃には、完全に視力を失ってしまいました。
夢も希望も失った彼女は、ある日そんなことをつぶやきました。夫との旅行を夢見て毎日働いてきた靖子さんにとって、この現実は受け入れられなかったのです。
視力を失ってから、すっかり家に閉じこもるようになった靖子さん。
「せめて誰か遊びに来てくれたら、話し相手になってくれるかしら…」
落ち込んだ表情でそう言う妻の姿を見て、敏行さんは毎日心を痛めていました。
そんなある日、庭に咲いていたシバザクラの花がふと目に入ったのです。
「目が見えなくても、花なら匂いで感じることができる。
それに、きれいな花畑が家にあったら、たくさんの人が来てくれるかもしれない…!」
そう思った敏行さんは、シバザクラを庭中に植えることにしました。
2年かけて土台を整え、毎日シバザクラの花を育てる敏行さん。愛する妻・靖子さんに笑顔を取り戻したい…その一心で庭に花を植え続けたのです。
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